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技術コラム

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トルク計の原理としくみ

01.JPGトルク計内部の感度部にねじれが生じると、感度部に貼り付けられたひずみゲージが伸び縮みして抵抗値が変化します。この微小な変化を電気信号に変換することによって、トルク測定が可能となります。

このひずみゲージの素材には極薄の金属箔や半導体(シリコン結晶)が用いられ、サイズも極小(1.0×2.0mm)です。また複雑な構造を必要としないため、トルク計を小型化することができます。

当社で製造しているトルク計は以下の3種類です。それぞれの特徴をご紹介します。

【1】丸棒タイプ

トルク計の基本型です。

棒状の金属(φ1040mm)の両端に雑巾を絞る要領でトルクを掛けると、棒の表面にはトルクに応じたねじれ量(表面せん断応力)が発生します。
応力は長手方向に対して45度の角度で発生するため、この方向にひずみゲージを貼り付け電気信号を測ります。
このタイプには回転型と固定型があり、電気信号の入出力はスリップリングとブラシによって行います。

【2】ビームタイプ

小さなトルク(500mNm以下)を測る場合、丸棒タイプでは十分な出力が得られません。
そのためトルク計内部にアルミ製の板状ビームを4本設け、このビームの曲げ応力を利用することによって微小なトルクを測ります。
このビームは0.32.0mmととても薄いため、高度な機械加工が必要になります。
このタイプも回転型と固定型がありますが、回転型では軸の偏心と回転ノイズに細心の注意を払っています。
当社の微小トルク計は、ほとんどがこのタイプになります。

【3】力計タイプ

さらに微小なトルク(0.2mNm以下)を測る場合には、別の方式が必要となります。
そもそもトルクとは、半径からの距離(長さ)に力を乗じたものです。半径からの距離を固定し、その点における力を測定すればトルクを導き出すことができます。
このタイプは主にベアリングのトルクを測るときに使用されます。
ここでも回転部の偏心と接触部からのノイズには細心の注意が必要です。
このように微小トルク計は繊細な構造のため、使用する際には曲げ・過負荷などに十分な注意が必要です。また温度、湿度、振動など計測環境の管理も必要となります。


トルク計設計部門リーダー 斉藤勝美

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